イラスト部門講評 

イラスト部門講評

どちらの優秀作も、孤独と希望を感じさせる、深みのある絵でした。十代特有の感性かもしれませんし、人間の普遍的な心象風景かもしれません。見る側の想像力や感性によって、様々な解釈が生まれる作品でした。
ご応募ありがとうございます。

ーーーーーーーーーーーーー
長野さん

原色で描かれた大きな太陽と明るい色づかいが印象的です。画面上部にうまく描き分けられた汽車や音符が作者の気分をよく伝えてくれます。自由自在に描いていく感覚は、その楽しさも見る側に感じさせます。

「目」がたくさん描いてあります。色んな人の視線が気になるののか、その目はなんとなく下の小さな人を見てる。その人は1人でいることの寂しさはあるけれど悲しくはない。居心地は悪いけれど、明るさと力強さも感じます。

今の正直な自分を丸ごと描けていることは、とても素敵な事だと思います。大人になると、丸ごと正直な絵を描くことが最も難しいことの一つになってくるのです。自分への正直さが、この絵の一番の良さだと思います。

絵の世界は誰からも自由自在です。これからも体が感じるままに描き続けて下さい。
ーーーーーーーーーーーーーー
樋ケさん

コンピューターグラフィックス(CG)で描くことは「描く」と「操作する」ことが必要です。この難しい技術によく辛抱強く挑戦されたと思います。
絵はとてもきれいにまとまっています。ただ、全体的に硬い印象になってしまっています。デジタル画の難しいところです。

桜が満開のときの花の色、樹のもつエネルギーが際立ってこそ、水面に映る冬の枯れた桜も生きてくると思います。満開の桜を見たときの作者の心の動きが感じられるような表現があればさらに良かったでしょう。

また、回りの濃い額縁色は満開の桜よりも、冬の桜の印象をさらに強めています。春と冬という対照的な印象を配置し、バランスをどうとるか、どちらかに寄せるか、難しいテーマだったと思います。

自然の木々などじっくり観察しながらスケッチを重ね、さらにCGで再現する事を繰り返していけば、絵の力もCGの技術もどんどん上がっていくことでしょう。
今後の活躍に期待しています。

ーーーーーーーーーーーーーー
講評:
イラストレーター:北島貴子
小説家:篠原悠希

スポンサーサイト



2020.11.04 | | コメント(0) | 未分類



しまとり文芸文学賞 審査結果

しまとり文芸文学賞 審査結果


小説(フィクション)部門 優秀賞 2点

「記憶のコロッケを温めなおそう」 鶴頭幸太郎 島根県立益田高等学校3年生
「君のいない世界に君がいた話」 巴里光希 松江市立義務教育学校八束学園9年生(中学3年生)

<講評を別ページに掲載>

イラスト部門 優秀賞 2点

長野心美 松江市立第二中学校2年生
長野

樋ケ琴乃 松江市立第二中学校1年生
樋ケ

賞状と副賞、記念品、そして惜しくも受賞されなかった応募者への参加賞につきましては、11月中旬から下旬にかけて発送いたします。
ご応募ありがとうございました。

総評、受賞作品の講評など、順次アップして参ります。

2020年11月1日 代表 篠原悠希

2020.11.01 | | コメント(0) | 未分類



しまとり文芸文学賞 総評

総評 五十音順 敬称略


ミステリ、歴史時代小説作家 神家正成

たいへん面白く皆さんの作品を拝読いたしました。物語を書き上げるというのはとても大変なことなのですが、書き上げるたびに執筆する力は大きく成長します。

 全体的にもう少し長く書くと、主人公の気持ちや作者の伝えたいことが読者に分かりやすく伝わると思います。原稿用紙だと書いたり消したりするのが大変ですが、書き終えたあとに推敲を何度もするとさらによくなると思います。

 また皆さんの作品を読めることを楽しみにしております!


ライトノベル、ミステリ、ファンタジー、SF小説作家 久住四季

・僕が作家という仕事を志望し始めたのは高校一年の頃でしたが、結局卒業するまでに短編の一つすら書き上げることはできませんでした。ですからきちんと作品を書き上げて応募された皆さんを、僕は心より尊敬します。どんな傑作だとしてもそれが未完であれば、完成した作品のほうがすばらしいのです。ぜひこれからも多くの本(小説に限らず)を読み、多くのことを考え、小説を書き続けてください。そして何より、そうすることを楽しんでほしいと思います。

・えー、ちなみに小説の書き方というものには正解がありません。なので、これまであれこれ語った審査員の講評が受け入れられない、ということもおおいにあり得ると思います。例えばもし逆に皆さんが僕の書いた小説を読んで、「こんなもん自分でも書ける!」と思われても、それもまた正しいのです。

・またどこかで皆さんの書いた作品が読めることを願っています。ご応募、本当にありがとうございました。


ライトノベル、ファンタジー小説作家 佐伯庸介

力作あり、かなり「読ませる」作品ありで、賞の最初としてはかなりの豊作だったのではないかと。最近の学生さんは文章をしっかり書けるんだなあ~、と思いました。

創作は一作品完成させるごとに力がつくものですので、今回の応募は間違いなく応募者の皆さんの貴重な経験値になったはずです。是非これからも継続して書いていってほしいですね!


ファンタジー、青春、歴史時代小説作家 篠原悠希

今回のしまとり文芸文学賞にご応募いただき、まことにありがとうございます。

みなさんの意欲的な作品に触れて、私が高校生の時に初めて小説を書いたときのときめきや不安を思い出し、初心に返る思いです。

どれも、熱量にあふれた勢いのある作品でした。

小説は、料理やスポーツ、映画などと同じように、ジャンルが広く分かれています。読者の個人的な好み、年齢、性格、立場などによってそれぞれ感性も異なります。そのため、読む人によって感想や評価が変わってきます。大人と青少年では、ものの考え方も受け止め方も、とても違います。

ですから、審査員の評価に同意できなかったり、身近な誰かに読んでもらったときの感想が辛口だったり、思ったような反応が得られなかったりしても、その作品がたまたまその読者の好みでなかったということもあり得ます。

物語の描き方に「これが正しい」というものはありません。

ですから、いまはただ、思いのままに浮かんできた物語を文章にしていくことを楽しんでください。

文章は書けば書くほど、小説はひとつ書き上げるほどに上達していきます。

上達するほどに、自分の限界を知り、もっと上手くなりたい、そのためにもっと学びたいと願うようになります。

そのときは、自分とは考えや感性の違う人々の意見も心になじんでくるでしょう。

またいつか、どこかで、みなさんの物語と出会う日を楽しみにしています

2020.11.01 | | コメント(0) | 未分類



受賞作品講評 「君のいない世界に君がいた話」

受賞作品講評


「君のいない世界に君がいた話」巴里光希

神家正成
SF的な話と恋愛をうまくまとめています。もう少し説明や描写を丁寧に長く書くと、さらによくなるでしょう。驚きと感動を大きくするためには、もう少し各場面を丁寧に長く書いたほうが盛り上がります。2年間の物語と主人公の揺れる気持ちもぜひ読んでみたいです。

久住四季

・大人の女性と青年の間にタイムリープを持ち込み、複雑な関係性と擦れ違い、そこで生まれる恋や悲しみを描こうという物語作りの視点の高さがすばらしかったです。小さくまとまろうとせず、より大きなお話にしようという姿勢に嬉しくなりました。

・いつきのたけるに対する感情が、「弟のような気持ち」から「一人の青年への恋」へと変化する様子もよく描けていました。

・ただ、それらがまだ背伸びに感じられるところもあったように思えます。いつきの内面はもとより、たけるの内面について詳しく描くことができれば、作品はさらに読み応えを増すのではと感じました。彼の葛藤もまた、いつきと同じぐらい強いものだったはずなので。

佐伯庸介
ラストシーンは印象的に書けていると思います。
たけるくん中々業の深い性癖してるな……と思いました。これはキャラクターとして強い。貫き通したのも善悪はどうあれ潔い。

篠原悠希
いつきの心の変化と秘密を知ってからの戸惑い、その後の選択が丁寧に描かれていました。
切ない終わり方に余韻が残ります。
オイディプス・コンプレックスに正面から大胆に取り組んだ意欲作と思います。テーマをどこに置くかによりますが、たける視点のお話が読んでみたいです。

2020.10.31 | | コメント(0) | 未分類



受賞作品講評 「記憶のコロッケを温めなおそう」

受賞作品講評


「記憶のコロッケを温めなおそう」鶴頭幸太郎

神家正成
たいへんおもしろくうまい構成です。小説を書き慣れている感じがします。もっとたくさん読んでたくさん書けば、さらに上手になると思います。いったいどうなるのだろうと先を読みたくなる気持ちになりました。次の作品を楽しみにしています。

久住四季

・まずタイトルが秀逸でした。「記憶のコロッケ」という何気なさそうな、けれどフックのあるフレーズで、それを「温め直す」とはどういうことなのか?と興味を惹かれました。
・実際「コロッケ」の扱い方もすばらしく、それが冷え、温められ、切り刻まれ、まとめられるといった変化で一也の心情を描く手際に感心しました。
・文章も端正で、複数回のタイムスリップによる複雑な状況や構成を矛盾なく描き切っておりよかったです。キョウコとのさり気ない関係の明かし方も、とても気がきいていると感じました。
・唯一、「コロッケ」という心情を表す小道具と、作劇の根幹を成すタイムスリップというギミックに、直接的な繋がりがないのが惜しく感じられました。これが実現できれば、作品がより隙のないものに仕上がると思います。


佐伯庸介
時間を使ってパズルするような凝った構成です。
表題にもなっているコロッケと落ちがこれからへの希望を作っています

きっちりとした文章と構成で作られた短編だと思いました。最後のタイムスリップで現代がどうなるか、気になるところです。

夏樹ちゃんも災難だなあ。

篠原悠希
緊迫感のある、とてもスケールの大きいSFです。書き慣れた感じが安心して読めました。最後の過去改編の部分が具体的に描かれていたら、完成度の高い作品になったでしょう。


2020.10.31 | | コメント(0) | 未分類



«  | ホーム |  »